Times Jutaku Shimbun / 不動産の日 9/23
「不動産の日」取材記事
~家の省エネ性と不動産価値守る~
タイムス住宅新聞「不動産の日」特集|一級建築士 村山 創
週刊タイムス住宅新聞「不動産の日」特集紙面(1)
そもそも「ZEH」って?
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、住宅の断熱性を高め、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入。年間の一次エネルギー消費量を「実質ゼロ以下」を目指す。つまり、「断熱」「省エネ」「創エネ」に配慮した住宅のことだ。
混同しやすい言葉として、「ZEH水準」がある。ZEHとの違いの一つが創エネで、ZEH水準では再エネ設備は取り付けられていない。また、「ZEH+」はより高性能にした住宅のことで、ZEH住宅には種類がある。
エネ性能の評価書とは?
「エネルギー消費性能の評価書」は「省エネ性能ラベル」の内容をより詳細に記したもの。ラベル同様、第三者評価と自己評価の二通りで発行できる。
ちなみに、省エネ基準とは「エネルギー消費量」と「断熱性能(外皮性能)」の項目に細分化されている。
光熱費はどれくらい変わる?
村山さんは二つの物件で、35年間の光熱費をシミュレーション。物件Aは「住戸、星4、断熱性能6、再エネ設備なし」で、物件Bは「住戸、星6、断熱性能6、再エネ設備あり」。計算結果は物件Bが物件Aより、約570万円ほど光熱費が安くなることが分かった(物件A:目安光熱費25.8万円/年、物件B:目安光熱費9.5万円/年)。
❹エネルギー消費性能
三つ星(エネルギー消費削減が20%)以上であれば、「ZEH水準」の基準を満たす。国が定める省エネ基準から、どの程度「エネルギー消費量(BEI)」を削減できているのかを星の数で表す。星一つが0〜10%の削減率。村山さんは「基準以下の住宅は需要が減り、資産価値が下がることが懸念されます」と話す。
❺断熱性能
日本を8区分の地域に分け、各地域の気候条件などを基に基準地を設定。沖縄は「8地域」に分類される。沖縄は「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」のみ基準が設けられ、「外皮平均熱貫流率(Ua値)」は基準がない。
❻目安光熱費
住戸面積30平方メートル当たり入居者1人、120平方メートル以上であれば4人で想定し、目安光熱費を算出。目安光熱費は太陽光発電による売電分などは計上されていないため、費用が安くなる可能性もある。
週刊タイムス住宅新聞「不動産の日」特集紙面(2)
星で「見える化」 誰でも一目で把握、資産価値にも影響
今年4月から新築建物は原則、省エネ基準適合が義務化された。その性能を一目で伝えるのが「省エネ性能ラベル」だ。省エネ性能を星で表し、断熱性能や目安光熱費なども「見える化」。一級建築士の村山創さんに同ラベルの見方や省エネ基準の動向などを聞いた。「性能高めることは、上質な空間と資産価値を保つことにつながる」と話す。
住宅を見ただけで、省エネ性能を判断するのはプロでも容易ではありません。「一般の方ならなおのこと」と創環境Designの建築士・村山創さんは話す。省エネ性能を、誰でも一目で分かるのが「省エネ性能表示制度」だ。同制度の発行物は❶「省エネ性能ラベル」=左図=と❷「エネルギー消費性能の評価書」で、一戸建てや共同住宅の省エネ性能を星の数で表す。
ラベル表示は努力義務
❶は建売住宅などの広告に掲載され、省エネ性能を証明するものだ。しかし、「ラベル表示は事業者の努力義務なので、必ず掲載されているわけではありません。住宅購入時には事業者にお願いして、ラベルを比較しながら選ぶことをおすすめします」と村山さん。
国策として省エネ基準は現行の「一つ星・断熱性能4」から、30年に「三つ星・断熱性能5」へ変更予定。「法的に高い省エネ性能が求められる上、低い性能のままだと、不動産の資産価値を落とす要因になりかねません」。
目安光熱費に注目
ラベルで、特に注目してほしいのが「目安光熱費」。想定される年間の光熱費が数値化されているため、「一般の人でも省エネを直感的に理解しやすい。目安光熱費が安ければ、それだけ高い省エネ性能の住宅ということだ。ローンの借入年数を掛け合わせると、不要な支出の把握にもなります」。
性能評価は2通り
また、誰が評価したのかも確認。専門の評価機関による「第三者評価」と、建築士らによる「自己評価」とがある。村山さんは「計算プログラムは整備されているので、自己評価の精度が第三者評価よりも低いというわけでは決してない」と説明した。
❶再エネ設備の有無
太陽光発電などの再生可能エネルギー設備が設置されている場合は「再エネ設備あり」と表示。その場合、省エネ性能は7段階で評価され、省エネ設備がない場合は5段階評価となる。
❷何のラベルか
省エネ性能ラベルは「住宅」と「非住宅」に分けられ、住宅はさらに「住戸」と「住棟」に分類されている。住戸は一戸建てや共同住宅の一室、住棟はマンションなど一棟全体の省エネ性能を評価する。
❸評価した人物
評価は必ず左下に記載され、評価方法は二通り。(一社)住宅性能評価・表示協会から、BELS(ベルス)認証機関と承認された民間企業が行う「第三者評価」と、建築士らが行う「自己評価」だ。
既存住宅の場合は?
既存住宅でも、図面や仕様書などの建築図書の有無により、「省エネ性能ラベル」を利用できる。難しい場合には、「省エネ部位ラベル」もあるが、二つのラベルは併用することはできないので注意が必要だ。
※出典:国土交通省「建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示 性能事業者向け概要資料」と「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度ガイドライン」。図などは一部加工・作成し使用している。
紙面デザイン:週刊タイムス住宅新聞「不動産の日」特集より。誌面画像内の細部は上部の紙面イメージでご確認いただけます。